1996年以来,年1回継続されてきた「四国地区歴史系学芸員・アーキビスト交流集会」は,四国地区における歴史系分野の学芸員及び文書館専門職員の交流という当初の目的を達成し,学芸員等の自主的・定期的研究活動として定着してきた。
この間,官公民のいずれが設置主体であろうと,博物館をめぐる環境は変化してきた。長期化した不況による財政状況の悪化,それと連動した行政改革の進行,合併の進展などのものとで,もはや博物館を自明の存在とすることを許さない状況が生じている。
一方でボランティアの受け入れや学校教育との連携が進展するなど,博物館が新しい方向性を模索してきたことも事実であるが,環境変化はあまりにも速かった。
こうした現状認識を前提とするなら,今,私たちに求められるのは,学芸員やアーキビストといった現場スタッフの「閉じた世界」における議論に止まること,あるいは「歴史系」という専門性に基づく観点に立つことではないと考えられる。より広く,博物館・美術館やその類縁機関関係者の結集を促すとともに,博物館に関心を寄せる人たちとの連帯を強化することが不可欠となろう。
そこで,現場スタッフを中心とした議論を続けながら,さらに博物館の「外の世界」に向けた情報発信をも意図した活動方向を考えるため,「四国地区歴史系学芸員・アーキビスト交流集会」を解消し,「四国ミュージアム研究会」を設立することを提案する。
(2004年 第9回交流集会における四国ミュージアム研究会の設立提案文書より)
これまでに開催された四国ミュージアム研究会の記録です。
日 時:平成31(2019)年3月16日・17日
会 場:観音寺共同福祉施設・観音寺市ふるさと学芸館
テ ー マ:西日本豪雨災害における資料救済・保全
報 告
「西日本豪雨における愛媛資料ネットの活動」鈴木あかり (愛媛大学)
「平成30年7月豪雨における歴史資料等の被災対応―愛媛県の事例―」
甲斐未希子・大本敬久(愛媛県歴史文化博物館)
「予防ネットの災害対応―岡山史料ネットの取り組み」
上村和史(岡山史料ネット)
「岡山県文化財等救済ネットワークと西日本豪雨災害 岡山県博物館協議会からの報告」
福富幸(岡山県立美術館)
見 学:観音寺市ふるさと学芸館
日 時:平成30(2018)年3月4日・5日
会 場:愛媛大学総合情報メディアセンター・愛媛大学ミュージアム
テ ー マ:誰もが参加できるミュージアムを目指してー高齢者・障害者を中心にー
基調講演
「発達障がい児の療育を目指した博物館(水族館)学習の実践」高田浩二
(福山大学・元マリンワールド海の中道)
報 告
「徳島県立近代美術館のユニバーサル・ミュージアム事業について」森芳功(徳島県立近代美術館)
「地域回想法と博物館ー記憶と物語の継承・構築ー」大本敬久(愛媛県歴史文化博物館)
「みんなで美術を味わうー対話型鑑賞の取り組みからー」窪美酉嘉子 (香川県立東山魁夷せとうち美術館)
「藁工ミュージアムの取り組みについて」松本志帆子(特定非営利活動法人ワークスみらい高知・藁工ミュージアム)
特別報告
「『ために』から『ともに』へー『みんなの美術館プロジェクト』から10年ー」
梅田亜由美(女子美術大学・武蔵野美術大学)
見 学:愛媛大学ミュージアム
日 時:平成29(2017)年3月20日・21日
会 場:高知県立高知城歴史博物館
テ ー マ:ミュージアムと観光
特別報告
「高知城歴史博物館の5つの使命ー新しい博物館の試みー」渡部潤(高知県立高知城歴史博物館)
報 告
「室戸ユネスコ世界ジオパークにおけるジオツーリズム」中村有吾(室戸ジオパーク推進協議会)
「坂の上の雲ミュージアムと観光ー文化施設と観光施設のはざまでー」川島佳弘(坂の上の雲ミュージアム)
「創造都市推進局 文化・観光・スポーツ部 高松市美術館」毛利直子(高松市美術館)
「ドイツ兵の記録を観光資源へー鳴門市ドイツ館の模索」森清治(鳴門市ドイツ館)
新館建設・現状報告
①オーテピア高知みらい科学館 岡田直樹
②高知県立坂本龍馬記念館 亀尾美香
その他報告
『もっと博物館が好きっ!』販売状況等
見 学:高知県立高知城歴史博物館
「高知城歴史博物館の建築と開館までの記録」田井東浩平(高知県立高知城歴史博物館)
日 時:平成28(2016)年2月28日・29日
会 場:徳島市立考古資料館・阿波史跡公園
テ ー マ:継続は力なり
講 演
「弥生博の記憶ーこれからの博物館ー」合田幸美(公益財団法人大阪文化財センター)
報 告
「地元パワーで展示館を元気にするー宗吉瓦窯会の活動ー」宮本尚美(宗吉かわらの里展示館)
「地域住民が守り育てるー徳島市天狗久資料館ー」瀧山雄一(徳島城博物館)
「なぜ,それをするの?ー「対話型鑑賞」の取り組みー」鈴木有紀(愛媛県美術館)
「豊永郷民俗資料館 開館ー継続は力なり,鉄は熱きうちに打てー」釣井龍秀(豊永郷民俗資料館)
「『もっと博物館が好きっ!ーみんなで歩む学芸員ー』の刊行について」
見 学:阿波史跡公園・徳島市立考古資料館
日 時:平成27(2015)年2月22日・23日
会 場:瀬戸内海歴史民俗資料館・四国民家博物館
テ ー マ:ミュージアムの資源を活かすー人・モノ・情報ー
シンポジウム
Ⅰ部:続・小規模菅を育てる眼差し
「四国におけるミュージアムの現状ー基礎データ調査の成果を受けてー」田中謙(今治市村上水軍博物館)
Ⅱ部:ミュージアムの資源を活かすー人・モノ・情報ー
「活かせる資源になるためにー町見郷土館の場合ー」高嶋賢二 (町見郷土館)
「博物館と地域連携ー土佐山内家宝物資料館の試みー」筒井聡史(土佐山内家宝物資料館)
「古生物タイプ標本の3Dデジタルデータベース構築の試みー日本産白亜紀アンモナイトを例にしてー」
辻野泰之(徳島県立博物館)
「ミュージアム×古美術×未就学児ー”小さな子どもの観覧日”の試みー」松岡明子(香川県教育委員会生涯学習・文化財課)
見 学:四国民家博物館
日 時:平成26(2014)年2月16日・17日
会 場:今治市河野美術館・大三島美術館ほか
幹 事 館:村上水軍博物館
テ ー マ:小規模館を育てる眼差し
趣旨説明
「今治市におけるミュージアムの現状と諸問題から」藤本誉博(今治城・今治市河野美術館)
報 告
「四国地区博物館基礎データアンケート調査票 集計・分析例」田中謙(今治市村上水軍博物館)
「小規模博物館が地域に必要とされるために」矢野真志(面河山岳博物館)
「高知県 香美市立吉井勇記念館」柳瀬美紀(香美市立吉井勇記念館)
「香川県 三豊市文書館」宮田克成(三豊市文書館)
「小さな館、地域活性化に活路あり-ビオトープ池造成からスイーツづくりまで-」
田代優秋(徳島県立佐那河内いきものふれあいの里ネイチャーセンター)
記念講演
「小規模館運営の現状と課題 -社会構造の変化と博物館をめぐる法制度改革の動向を踏まえてー」
瀧端真理子(追手門学院大学)
見 学:岩田健母と子のミュージアム・ところミュージアム・伊東豊雄建築ミュージアム・大三島美術館