四国各県では,近年,博物館や文書館の整備が急速に進められてきました。その結果,学芸員やアーキビストとして,専門的職務に従事する人口が増してきたわけです。
しかし,残念なことに,施設の名称は同じように博物館や文書館と称していても,設置者の認識のレベルなどに規定され,立地や職務条件は,あまりにも多様です。そのため,一律に博物館論・文書館論,さらにはそれらを包括する歴史資料保存利用機関論ないしは専門職員論を展開するのは,あまりにも空しいことになってきます。
そうはいっても,施設ごとの状況如何にかかわらず,共通する課題も多数あるはずです。例えば,資料管理や調査活動の方法,展示の技法,防災,特別展のテーマ選定の考え方などなど。個別の状況はともかく,いろいろな活動上の問題点を相互にぶつけあい,議論しあうことも可能なはずです。そうした日常活動に即した議論を重ねつつ,類似した職務に従事する者の間の連帯関係を築いていくことが,様々な問題の解決を考える上で,大切な第一歩となるでしょう。
このような考えから,このたび四国地区歴史系学芸員・アーキビスト交流集会を開催することになりました。現場スタッフの主体的な結集から新しい博物館・文書館活動の創造へつながっていくことを祈ります。
(1996.2.17-18 第1回交流集会への参加呼びかけにあたって配布された趣旨説明より)
平成8(1996)年から平成16(2004)年にかけて開催された四国地区歴史系学芸員・アーキビスト交流集会の記録です。
日 時:平成16(2004)年3月7日・8日
会 場:徳島県立博物館・徳島県立文学書道館
テ ー マ:博物館・美術館の運営と評価
報 告
「美術館の評価-高知県立美術館の場合」河村章代(高知県立美術館)
「町見郷土館の生い立ち」高嶋賢二(伊方町立町見郷土館)
見 学:徳島県立文学書道館
日 時:平成15(2003)年3月9日・10日
会 場:牟礼町立石の民俗資料館・引田町立歴史民俗資料館
テ ー マ:町おこしと博物館
報 告
「観光地型の博物館」関幸代(山城町石の博物館)
「中岡慎太郎館設立の経緯と今後の展望」豊田満広(北川村立中岡慎太郎館)
「能島水軍における町おこしと水軍資料館」中川和(宮窪町教育委員会)
「町並み保存と資料館」萩野憲司(引田町立歴史民俗資料館)
見 学:引田町歴史民俗資料館・引田の町並み
日 時:平成14(2002)年3月3日・4日
会 場:愛媛県総合科学博物館・新居浜市立広瀬歴史記念館
テ ー マ:市町村合併と博物館
報 告
「別子銅山記念館の設立の経緯と運営について」上垣起一(別子銅山記念館館)
「市町村合併をひかえた小規模館の活動」友澤彰(小松町温芳図書館郷土室)
「町村合併と資料館-『東かがわ市』誕生の中で」萩野憲司(引田町立歴史民俗資料館)
「博物館の連携と今後」小林和香(安芸市立歴史民俗資料館)
「親しむ博物館づくり事業の実施について」松下師一(松茂町立歴史民俗資料館)
見 学:新居浜市立広瀬歴史記念館
日 時:平成13(2001)年3月3日・4日
会 場:春野町立文化ホール・牧野富太郎記念館
テ ー マ:学校・こども・博物館
報 告
「博物館を使った学習」西村多加(高知市立長浜小学校)
「博物館の学校教育活動の推進」白石尚寛(大洲市立博物館)
「こども向けワークシートの試み」河村章代(高知県立美術館)
「博物館を用いた授業例」別處正和(宇和町立宇和町小学校)
見 学:牧野富太郎記念館の概要・普及活動・見学
日 時:平成12(2000)年2月19日・20日
会 場:香川県歴史博物館
テ ー マ:21世紀の博物館
報 告
「常設展示のリニューアルをめぐって」櫻井成昭(大分県立歴史博物館)
「生涯学習と博物館」谷脇温子(愛媛県歴史文化博物館)
「地域興しと博物館」瀧本真澄(香北町アンパンマンミュージアム)
「史料保存ネットワークの可能性」長谷川賢二(徳島県立博物館)
「新設博物館の現状と課題」長谷川伸(新潟市立博物館準備室)
見 学:「最新施設の現状と課題」香川県歴史博物館
日 時:平成11(1999)年3月13日・14日
会 場:松茂町歴史民俗資料館・人形浄瑠璃資料館
テ ー マ:博物館と地域Ⅱ 博物館と社会教育をめぐる諸問題
報 告
「小規模資料館の方向性」友澤彰(小松町温芳図書館郷土室)
「地域調査と博物館」胡 光(香川県教育委員会歴史博物館建設準備室)
「博物館・美術館の運営母体について」根津寿夫(徳島市立徳島城博物館)
講 演
「『図書館の自由に関する宣言』と図書館」梶田典男(高知市民図書館)
実 習:写真・マイクロフィルムの撮影方法
日 時:平成10(1998)年3月7日・8日
会 場:愛媛県歴史文化博物館
テ ー マ:博物館と地域
報 告
「地域に発信する博物館」松下師一(松茂町立歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居館)
「安芸市における地域資料調査の試み」小林和香(安芸市立歴史民俗資料館)
「小資料館における学芸員の役割」秋田通子(吉田町ふれあい国安の郷)
「鎌田共済会博物館と地域資料の発掘保存」長谷川桂子(鎌田共済会郷土博物館)
「高知歴民における資料調査員について」梅野光興(高知県立歴史民俗資料館)
実 習:「甲冑の取り扱い講座」友澤彰(小松町温芳図書館郷土室)
日 時:平成9(1997)年2月15日・16日
会 場:高知市立自由民権記念館
テ ー マ:博物館の教育普及事業を考える
報 告
「高知歴民館の教育普及事業」野本亮(高知県立歴史民俗資料館)
「サンクリスタル学習について」田井静明(香川県教育委員会歴史博物館建設準備室)
「松茂町立歴史民俗資料館・徳島県立文書館の普及事業について」松下師一(松茂町立歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居館)
「学校現場から博物館活動に求めるもの」永井紀之(愛媛県立今治北高校)
「和歌山県立博物館からの報告」前田正明(和歌山県立博物館)
実 習:「美術品の取り扱い方講座」大橋俊雄(徳島県立博物館)
日 時:平成8(1996)年2月17日・18日
会 場:徳島県立博物館・文書館・徳島市立徳島城博物館
テ ー マ:地域博物館・文書館の現状と課題
報 告:各県別博物館状況報告・文書館四国の状況
須藤茂樹(徳島市立徳島城博物館)
田井静明(香川県教育委員会歴史博物館建設準備室)
井上淳(愛媛県歴史文化博物館)
筒井秀一(高知県立自由民権記念館)
前田正明(和歌山県立博物館)
金原祐樹(徳島県立文書館)
講 演:「最近の学芸員論と私たちの課題」内田九州男(愛媛大学)